映画「岬の兄妹」は障害と貧困と愛を描いた残酷で不快な問題作 #岬の兄妹

SNSで見かけた映画で気になってどうしても見たかった「岬の兄妹」をレイトショーで見てきました。足に障害を持つ兄と自閉症という障害を持つ妹。仕事を失った兄が生きるために妹に売春を行わせながら必死で生きる・・。という話です。そう、かなり重いテーマです。

先に書きますが超傑作です。ただ人におすすめするか・・で言うとちょっと躊躇しますし、もう一回見ろと言われたら見ないですね。見ますけど。

まずは予告編

www.youtube.com

misaki-kyoudai.jp

※ネタバレは書かないようにしますが、ストーリーを知りたくない人はあまり見ないほうがいいと思います。

テーマは「障害」「貧困」「愛」

港町、仕事を干され生活に困った兄は、自閉症の妹が町の男に体を許し金銭を受け取っていたことを知る。罪の意識を持ちつつも、お互いの生活のため妹の売春の斡旋をし始める兄だったが、今まで理解のしようもなかった妹の本当の喜びや悲しみに触れ、戸惑う日々を送るのだった。そんな時、妹の心と体にも変化が起き始めていた・・・。

ふたりぼっちになった障碍を持つ兄妹が、犯罪に手を染めたことから人生が動きだす。地方都市の暗部に切り込み、家族の本質を問う、心震わす衝撃作―。

引用:公式サイト

6畳間のぼろい家で兄妹ふたりで暮らす生活。自閉症の障害を持つ妹はふらっと家を出てしまい、それを探す足を引きずる兄。テーマは「障害」と「貧困」。そして生きるために始めた「売春」です。

決して美しい話ではなく「普通に生きられない」兄妹がゴミを漁り体を売り、それでも生きようとするストーリー。かなり性的で生々しい描写を含んだ映画です。

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不快感と残酷な現実を淡々と表現

例えば冒頭の乱暴なカメラワーク。手持ちカメラでのブレ撮影は不快感を表すための手法かもしれません。一方で生々しい描写は多いですが過度な演出のアップダウン表現ではなく。残酷で普通の日常を不快感を持って淡々と表す、そんな感じでしょうか。

障害者の性

売春というテーマに対して、いわゆる悲壮感のあるストーリーではなくむしろ性の喜びに満ち溢れています。兄が妹を売るという行為、そして障害者の性活動。映画であっても安易に踏み込めない領域を表現しています。何と言い表わせばいいのか自分の心の整理が追いつかないです。マジで愛と呼んでいいのか。

圧倒的な演技力。マジで演技なのか?

兄妹役の2人の演技は本当にすごく、この役以外できるのか・・?と思ってしまうほどの入り込みようです。特に妹役の「和田光沙」さんは凄い。「体当たりの!」「体を張った!」なんていうチープな表現では決して言い表せない。映画内の仕草言動は映画の本人であり本物でした(何言ってるかわからないのですが、そういう気持ち)。

もう一回見ろと言われると、嫌だなと思うけど多分見る

正直人にオススメする映画ではないです。R15指定で人によっては不快に感じるシーンも多々あります。性的表現も多いので。それでも「もう一回見ろ」と言われたら嫌だと思いながらもう一回見るでしょう。それくらい強烈で愛があって残酷で。

「感動した」「泣いた」といった表現はできず、混乱と不快感と晴れないモヤモヤで心に爪痕が残された映画でした。傑作です。

イオンシネマ板橋はレイトショーもやってるのでおすすめ

2019/3/1公開ですが、今日3/5の時点で東京では3箇所しかやっていませんが、イオンシネマ板橋はレイトショーもやっていますし空いているのでおすすめです。5日目だけど最後の回で10人位じゃないかな?これから増えそう。長期間はやらない気がするので気になる方はお早めに。

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