ナガオカケンメイさんの「LONG LIFE DESIGN(ロングライフデザイン)」という書籍を読みました。
D&DEPARTMENTが選定した「普遍的で長く愛され使われる美しいデザイン」=「ロングライフデザイン」。そう呼べる厳選したプロダクトを都道府県ごとに一点ずつ紹介する書籍です。
ロングライフデザインとは?
下記のサイトに定義が書かれていましたが、
[ ロングライフデザインの10か条 ]1. 修理 …… 修理をして使い続けられる体制や方法があること。
2. 価格 …… 作り手の継続していく経済状態を生みつづける適正な価格であること。
3. 販売 …… 売り場に作り手の思いを伝える強い意志があること。
4. 作る …… 作り手に「ものづくり」への愛があること。
5. 機能 …… 使いやすいこと。機能的であること。
6. 安全 …… 危険な要素がないこと。安全であること。
7. 計画生産 …… あくまで計画された生産数であること。予測が出来ていること。
8. 使い手 …… 使う側が、その商品にまつわる商品以外に関心が継続する仕組みがあること。
9. 環境 …… いつの時代の環境にも配慮があること。
10. デザイン …… 美しいこと。
単にきれいなデザインの品ではなく「シンプルで無駄がなく修理し継続して使用して長年愛される美しいプロダクト」です。
例えばどんな「ロングライフデザイン」があるのか
本誌の内容から紹介ですが、僕の自分の地元の岩手県の商品だと「浄漆椀」という漆器。
15年育てた漆の木から取れる漆は牛乳瓶一本ほどのたった200g。その漆を塗り替さね研磨した器は何度も使うことによって輝き生まれる、まさに「一生モノ」の器。日々の食卓にシンプルに彩り丁寧に扱い、もし壊れたら修理して。人生に寄り添う食器ですね。
他にも日用品から調味料・家具など様々なプロダクトが紹介されています。
つい価格やパッと見のデザインに惹かれて「消耗品」のように品物を買ってしまう事が本当に多いですが、本当に良い品を長く大切に使っていくということがこれからの時代には必要なのかもしれませんね。
ウェブデザインにも「ロングライフデザイン」はありえるのか
僕はウェブ屋なので、自分たちの仕事に結びつけて考えますが、インターネットのウェブサービスにも普遍的で長く愛されるデザインは存在するのか。答えは「まだない」のかなと思っています。歴史が浅く日進月歩のウェブサイトは、デバイス・環境・技術が目まぐるしく変わります。
例えばシンプルで余計な装飾を省いた美しいテキストサイトだとしても。パソコンで見られる状態とスマートフォンで見る体験は全く異なります。レスポンシブと呼ばれるデバイスの環境に応じて見せ方をコントロールする技術がここ数年で安定してきたものの、まだ今後も踏まえた普遍的なデザインは確立されていないように思えます。
ただ、この書籍にあるように「商品を直し・機能的にしつつ・育てる」ということを重要と考えれば、裏側の技術というよりも、コンテンツ・サービスとしての普遍的なコンセプト・ユーザー体験を継続して提供できる事をウェブのロングライフデザインと呼ぶ事になりそうですね。トレンドの技術やはやりデザインに流されず、普遍的なユーザー体験の提供が、制作者サイトには必要ですね。
コメントを残す