「違国日記」を読み考える。多様性とは”理解する”ことではなく”否定しない”こと

違国日記という漫画を読みました。今年ナンバーワン確定!すごくよかったです。
ぜひいろんな方に読んでほしいですね。

違国日記(1) (FEEL COMICS swing)

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ヤマシタトモコ
660円(03/18 14:36時点)
発売日: 2017/11/08
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違国日記とは

35歳、少女小説家(亡き母の妹) 。15歳、女子中学生(姉の遺児)。 女王と子犬は2人暮らし。
少女小説家の高代槙生(こうだいまきお)(35)は姉夫婦の葬式で遺児の・朝(あさ)(15)が親戚間をたらい回しにされているのを見過ごせず、勢いで引き取ることにした。しかし姪を連れ帰ったものの、翌日には我に返り、持ち前の人見知りが発動。槙生は、誰かと暮らすのには不向きな自分の性格を忘れていた……。対する朝は、人見知りもなく、“大人らしくない大人”・槙生との暮らしをもの珍しくも素直に受け止めていく。不器用人間と子犬のような姪がおくる年の差同居譚、手さぐり暮らしの第1巻!
Amazonより

小説家の35歳の女性(槙生)が姉夫婦が交通事故で亡くなり、15歳の姪(朝)をひきとって二人で暮らしを始める話です。なんとなく海街Diaryを彷彿とさせる流れです。

好きなコマとあわせて紹介しますね。あんまりネタバレ見たくない人はここまでで。
(といっても以後の話は1~2巻の最初の方だけですが)

自分の感情は自分だけのもの

両親が死んだにも関わらず悲しみをうまく感じることが出来ない姪に声をかけた一言。”普通なら悲しむでしょう” ”涙が出ないなんておかしい”とかそういった「普通」を押し付けず、”自分の感情を大切にしなさい” という意味で声をかけた槙生(主人公)のセリフ。

「あなたの感じ方はあなただけのもので誰にも責める権利はない」

主人公は小説家なので少し独特な言葉のチョイスをしますが、このセリフがすごく心に残りました。悲しむことがうまくできないなら悲しまなくていい、悲しみがきたら悲しめばいい、と。相手の心を否定せず、自分の感情に嘘をつかなくてもいいという優しいセリフですね。

多様性とは、”理解する”ことではなく、”否定しない”こと

性別・LGBT・国籍等に関する多様性に関しては割と議論しやすいとは思いますが、思考・思想・生き方といった心の多様性に関する部分というのは中々議論は難しい部分はあります。「言論の自由」と一緒で「思想・良心の自由」というものは憲法でも保証されていますが、「普通は~」「一般的には~」「空気を読んで~」という同調圧力とも言える常識が蔓延しています。もちろん自分も含めて。

多様性を「理解しようとする」と、どうしても「理解できない多様性を受け入れられない」ケースが出てきます。例えば「男性同士の恋愛は生理的に受け入れられない」という考えの人もいるでしょう。異文化や個人の性癖など、普段触れることがない文化・思想ほど理解は難しくなるでしょう。

ただし「そう思ってしまう」事自体は心の動きなので止めることは出来ない。つまり多様性は理解するのではなくて「そういう人たちもいることはわかっている」であり「理解できない」ではなく「否定はしないが、好きではない」と受け入れるべきです。

この主人公はこの考えを体現する言葉のチョイスがすごくいい。

「あなたを愛せるべきかどうかはわからない」「わたしは決してあなたを踏みにじらない」

自分たちは様々な偏見と積み重なった常識の中で生きているのですが、この考えは決して忘れてはいけないですね。難しいですが、意識し続けないといけないです。

ステータス・レッテルはその人を表すものではない

下のコマは「親が事故で死んだ」生徒に対して、「かわいそう」と接する友達や先生に対し朝が言ったセリフ。

「ふつうで卒業式に出たかったのに」

難しいですよね、「かわいそうに」と言ってしまうかも。自分も5歳位で父親を亡くしているし母親とも離れて暮らし祖父母と暮らしてましたが言われてたのかな。あんまり記憶にないのが幸いかな。従兄弟家族とも一緒にくらしてたからかもしれない。

友達の家が事故にあって子供だけが残されたら「かわいそう」と判断して感情を押し付けてしまうかも。支援自体はしなければいけませんが、相手の心情を勝手に汲み取ってレッテルを貼ってはいけない。完全に理解しようなんておこがましいから。

とコマを交えて紹介させてもらいましたが「違国日記」マジですごくいいので今すぐ買って読んでみてください!よろしくお願いいたします。

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